20代半ばに差し掛かった頃、ふと鏡に映る自分の髪を見て愕然としました。以前よりも明らかに分け目が広がり、頭頂部のボリュームが減っているように感じたのです。「まさか自分がこの若さで薄毛に?」というショックと焦りで、一時は誰にも相談できず、一人で思い悩む日々が続きました。しかし、このままではいけないと思い直し、まずは自分なりにできることから対策を始めようと決意しました。最初に手を出したのは、インターネットで評判の良かった育毛シャンプーと育毛トニックでした。毎日欠かさず使用し、頭皮マッサージも行いましたが、正直なところ、数ヶ月続けても目に見える効果は感じられませんでした。もちろん、使用感が良かったり、頭皮がスッキリしたりといった感覚はありましたが、肝心の髪のボリュームアップには繋がりませんでした。次に試したのは、食生活の改善です。それまでは外食やコンビニ弁当が多く、栄養バランスも偏りがちでしたが、髪に良いとされるタンパク質や亜鉛、ビタミンを意識して摂取するようにし、野菜や海藻類も積極的に摂るようにしました。また、睡眠時間もできるだけ確保するように心がけました。こちらは、すぐに髪への効果が出たわけではありませんが、体調が良くなったような気はしました。それでも薄毛の進行は止まらず、いよいよ専門医に相談することを決意しました。皮膚科を受診し、医師の診断を受けた結果、AGA(男性型脱毛症)の初期段階であると告げられました。やはりそうだったのかという思いと同時に、原因がはっきりしたことで、ようやく本格的な治療に踏み出せるという安堵感もありました。医師からは、内服薬と外用薬による治療を提案され、それに加えて生活習慣の改善も続けるように指導を受けました。治療を開始して最初の数ヶ月は、正直大きな変化は感じられませんでした。しかし、医師の「焦らず続けることが大切」という言葉を信じ、根気強く治療を続けました。そして、半年ほど経った頃、シャンプー時の抜け毛が明らかに減ってきたことに気づいたのです。さらに一年が経過する頃には、以前よりも髪にハリとコシが出てきて、分け目の地肌も目立ちにくくなってきました。完全に元の状態に戻ったわけではありませんが、確実に改善しているという実感は、大きな自信に繋がりました。