男性型脱毛症(AGA)の主な原因!遺伝と男性ホルモンの役割

男性型脱毛症(AGA)の発症には、主に「遺伝的要因」と「男性ホルモン」の2つが深く関わっています。これらの要因がどのように作用し、薄毛を引き起こすのか、そのメカニズムを理解することが、適切な対策を講じるための第一歩となります。まず、「遺伝的要因」についてです。AGAは遺伝する傾向があることが知られており、両親や祖父母に薄毛の人がいる場合、自身もAGAを発症するリスクが高まります。特に、母親側の家系からの遺伝的影響が強いという説もあります。具体的に遺伝するのは、主に以下の2つの要素と考えられています。5αリダクターゼの活性の高さ: AGAの原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)は、テストステロンが5αリダクターゼという酵素によって変換されて生成されます。この5αリダクターゼの活性が高い体質が遺伝すると、DHTが生成されやすくなり、AGAのリスクが高まります。男性ホルモンレセプターの感受性の高さ: 毛乳頭細胞にある男性ホルモンレセプターが、DHTに対してどの程度敏感に反応するかという感受性の高さも遺伝します。レセプターの感受性が高いと、わずかなDHTにも反応しやすく、ヘアサイクルが乱れやすくなります。次に、「男性ホルモン」の影響です。前述の通り、テストステロンが5αリダクターゼによってDHTに変換され、このDHTが毛乳頭細胞の男性ホルモンレセプターに結合することが、AGAの引き金となります。DHTがレセプターに結合すると、毛母細胞の増殖が抑制され、髪の成長期が短縮され、休止期への移行が早まります。これにより、髪は十分に成長する前に抜け落ち、細く短い毛が増え、薄毛が進行していくのです。テストステロンの量が多いからといって必ずしもAGAになるわけではなく、上記の遺伝的要因(5αリダクターゼの活性とレセプターの感受性)との組み合わせが重要となります。これらの遺伝的要因と男性ホルモンの働きが、AGA発症の根本的なメカニズムを形成しています。生活習慣の乱れ(ストレス、睡眠不足、不規則な食事など)や頭皮環境の悪化も、AGAの進行を助長する要因となり得ますが、これらはあくまで二次的なものであり、AGAの根本原因ではありません。