お子さんの髪が薄くなっているのを見ると、「このまま治らなかったらどうしよう」「将来、この子はずっと悩み続けるのではないか」と、親として先の見えない不安に駆られるのは、当然のことです。しかし、過度に悲観的になる必要はありません。なぜなら、小学生に見られる薄毛の多くは、原因が一時的なものであり、適切な対処をすれば、また元通りに回復する可能性が非常に高いからです。例えば、子供の脱毛症で最も多い「円形脱毛症」は、その約80%が一年以内に自然に治癒すると言われています。治療によって、さらに回復を早めることも可能です。髪を結ぶことが原因の「牽引性脱毛症」は、原因となる髪型をやめれば、毛根が完全に傷んでいない限り、ほとんどの場合、再び髪が生えてきます。アトピー性皮膚炎などの頭皮トラブルが原因であれば、その皮膚疾患の治療が進めば、髪の状態も改善していきます。自分で髪を抜いてしまう「抜毛症」も、背景にあるストレスが軽減され、適切な心理的サポートを受けられれば、抜く行為は自然と収まっていきます。つまり、大人のAGAのように、進行し続けて元には戻らない、というケースは、子供の場合は極めて稀なのです。大切なのは、親が将来を悲観し、不安な顔を見せることではありません。子供は、親の不安を敏感に感じ取ります。親が動揺すれば、子供は「自分は大変な病気なんだ」と、さらに大きな不安を抱えてしまいます。親がすべきことは、まず専門医の診断を信じ、治療方針に従って、どっしりと構えることです。そして、子供に対しては、「大丈夫、これは治るものだからね」「髪の毛があってもなくても、あなたの価値は何も変わらないよ」と、無条件の愛情と肯定のメッセージを伝え続けることです。もちろん、回復までには時間がかかるかもしれません。その過程で、辛い思いをすることもあるでしょう。しかし、その経験を通じて、人は外見だけでなく、内面の強さや優しさこそが大切だということを学ぶ機会にもなり得ます。将来への不安と向き合う最善の方法は、今、目の前のお子さんの心に寄り添い、自己肯定感を育んであげること。それこそが、どんな困難にも負けない、本当の生きる力を髪と共に育むことになるのです。